アスペルガー障害あるいは高機能自閉症について

最近注目されている病態に、アスペルガー障害があります。これは1944年にハンス・アスペルガーが発表した論文に報告されていた症例にちなんで名づけられた病態です。アスペルガー障害は、広い意味では自閉症の1形と考えて良い病態ですが、典型的な自閉症とは異なり、知能が保たれているが、自閉症同様に社会関係の障害やコミュニケーションの障害があり、反復性の行動や限定された趣味によって特徴づけられます。つまり、人間関係において細かな相手の表情を読み取ったり、その時の空気を読んだりすることが苦手で、相手の考えを推測することができない、自分の視点のみ正しいと思ってしまう、同じ行動パターンをとりがち、興味の範囲が限定されているなどの特徴があります。

こうした方は、学校に通っている間は何とか集団に適応できていますが、卒業して就職すると多くの方が、周囲の同僚や上司と上手く行かなくなるのです。どうしても、協調性や共感性にかけているので、周囲とのコミュニケーションがうまくいかず、周囲から浮いてしまう傾向があります。このため、本人にとってもストレスが増大し、不適応を起こす方もいます。その結果として、うつ状態となり出社できない状態となる方も少なくありません。

その一方で限定された興味の範囲で非常に優れた能力を発揮する人が居ることも知られています。マイクロソフトの創立者のビルゲイツや、エジソン、アインシュタインなど、こうしたアスペルガー障害を持っていたであろうという著名人は枚挙の暇が無いほどです。逆にに言うとこれまで人類が成し遂げてきた革命的発展というのはこのタイプの人が居なければ為しえなかったといってもいいのです。しかし、こうした人物が成功するには、こうした才能をサポートする環境や人が必要です。
こうした、アスペルガー障害を伴った方に一般的なうつ病の治療を行っても、余りあり改善しません。仕事から離れ一時的に回復しても、会社に戻れば元の状態に戻ってしまいます。うつ病が遷延化して、何回も休職を繰り返している方の中にはこうしたアスペルガー障害を背景に持っている方が少なくないと言われております。こうしたアスペルガーのような広汎性発達障害を背景にもつうつ状態の方には、薬物療法だけではなく、デイケアでコミュニケーションスキルを改善をはかったり、個人カウンセリングで社会関係についての対応法を指導するなどの治療が必要となってきます。

カテゴリー: 阿部 哲夫   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

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