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第9回「DIET」

2013/07/31

今回は、メンバー5名、スタッフ2名の参加で始まりました、Reborn部です。メンバーは全員参加ということで、徐々に濃密な内容になってきました。

最初は配置の都合もあり、以前から日記をつけていたというスタッフC氏から始まりました。10年前の日記が見つかったとのことですが、生成り色と真っ黒の2冊を、それぞれ、(内面の)ハッピーサイドとダークサイドに分けていたとのこと。見返してみると、視力が落ちてしまった友人の言葉を引用しており、「視力がなくなることによって、周りの恐怖感がなくなった、それは生き方にも言えることだ」との記載があったそうです。また、「出自を受け入れる勇気。事実から逃げない、事実を受け止める」とも書いていたそうです。「あらかわ・ジャズ・オーケストラ」という団体のコンサートに行き、「Sing Sing Sing」を聴いたそうですが、荒川にぴったりだと思ったとのことでした。

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次にA氏ですが、今回、名言から始まると自ら宣言し、「デイケアに通うものは自分の殻を破らなければならない」「人との共存が乏しいものは人生に勝ち残れない」と記載されています。いつもは絵の多いA氏には意外な始まり方でした。自分にも言い聞かせている言葉でもあるとのこと。また、今回もスタッフの顔を中心にイラストをたくさん描いています。ちなみにスタッフA氏をよく描いており、そこから描き始めることが多いとのこと。グラフィティが好きなA氏ですが、自身のペンネームやマークが随所にあり、よく変えることがあるとのこと。今回は、TシャツのタグやB氏のイラストを貼っています。

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B氏はスタンプ台を使って、捨てることになっているものにインクを付け、構成しています。Reborn部についても記載しています。Reborn部は散歩に似ているとのこと。行き先、ゴールがないように思え、このノートがあるからちょっと脇道に入ってみようかなという行為が生まれる感じがするとのこと。また、普段から口ずさむことのあるおまじないを書き留めています。「孤独に歩め悪をなさず求めるところは少なく林の中の象のように」というもので、ブッダの言葉の抜粋だそうです。心配事があったときに心のなかで口ずさむそうです。また、デイヴィッド・ソローという米国の思想家の言葉、「徒歩で往く旅人こそ最も速やかなり」を引用しています。言葉だけではなく、デイケアで描いた絵を切って、再利用するようにコラージュした図柄もありました。

映画に関する記載も続いています。ミシェル・ゴンドリー監督の『ヒューマンネイチュア』を見たとのこと。同監督の『ウィ・アンド・アイ』に関するインタービュー記事についても話されています。B氏は日記を書くのは初めてだそうですが、ノートを書くことをあまり休んだ日はないということで参加者の中でも一番頁が進んでいます。

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続いてD氏ですが、今回も1日1頁のペースをくずしていません。最初は他人との生活習慣の違いについて記載されています。また、「老後は自然の中でのんびり暮らしたい」という人がいますが、その感覚は理解できない、とのこと。都会の生活であれば、煩わしく感じる近所付き合いが少ないので性にあっているとのこと。祖母が亡くなって5ヶ月になるが、食事のときは虚しさを感じる。以前は作っていたが、一日2食インスタントラーメンにしたときは虚しかった。パスタの絵が素晴らしい。新しいミュージシャンを開拓する気がない。角松敏生で事足りている。昔はラブソングが多かったが、リアライズの詩が今の自分には合っている。不安定なときに摂食障害になり、あまり食べなくなったときの体験について記載しています。今の方が体重は増えたが安定しているとのこと。ページの右上にはいつも通り、イラストがあったのですが、このページでは豚がモチーフとなっており、下に、「DIET」との文字が・・・。相変わらず皆を和ませてくれています。豚のイラストはそのままキャラクターとしてやっていけそうです。

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E氏は荒川区の暗渠(あんきょ)についてリサーチしているとのこと。東京(江戸)は、昔、川がたくさんあり、イタリアでいうとベネチアのようだったとのこと。江戸時代から暗渠があったそうですが、「藍染川西通り」などのように川が地名として残っているところがたくさんあるそうです。また、尾久に日本初の飛行機事故が起こっているそうです。その頃は田んぼだらけだったそうで、その真ん中に落ちたとのこと。さらに、荒川には、源氏の勢力を結集させた渡航地点があるそうです。いずれも地域に根づいたマイナーな情報で、一体どうやって知るのか尋ねたところ、「荒川区教育委員会の立て看板で見つけた」そうです。素通りされがちな地域の看板ですが、見ている人がいるものです。その後は、荒川区の地図を広げながら、その特殊な形に関しても、皆で盛り上がりました。

F氏は今回も文字にこだわった書き出しです。「カナモジカイ」というカタカナによる表記を推奨している団体が提唱する書き方でノートに記載しています。F氏が言うように、カタカナも書き方によっては読みやすいことがわかりました。また、漢字の形の時代による変遷についても考察しています。いわゆる「新ゴシック」というゴシック体が標準化してきていますが、特徴としては、「懐の広さ」があるそうです。文字の中にある空白の面積が広い、ということですが、昔ながらの、中国的な文字の形との乖離が気になっているそうです。さらに、明朝とゴシックの間のようなフォントも流行ってきているとのこと。

また、実はポエムを作ることがこれまでもあったそうで、Reborn部に二人目のポエマーがいることがわかりました。絵が描きたいが、描けない。その行為が地平線の果てにあるように遠く思える、という内容のものでした。それから、ポジティブでいこうと思いすぎると、逆にネガティブになっていくように思うそうです。自作の文字による暗号化された文章をはさみつつ、初めて、コラージュしています。1999年8月の「Cut」という雑誌があったカラフルなiMacの広告ですが、この広告を貼りつつ、「この頃と今がそれほど変わっていない気がする。」とのことでした。

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最後に梅津ですが、今回も内容が薄いです。これは使えるかも、と思って買った枠だけのスタンプですが、自分では一度も使ったことがないので、「激情」と「冷静」を行ったりきたりしてバランスをとっている心情を記載してみました。人間の判断は中庸がよいとされがちですが、結局行ったり来たりしながら、判断している気がするのです。

話し合いの最後には、またもや、お題を出すかどうかの議論になっています。D氏の豚のイラストからその話になり、皆で豚のイラストを描いてみる、などと話しています。Reborn部のロゴか、アイコンは欲しいところですが、そうでなくとも、何か一度くらいはお題があっても、面白いですね、考えます。